メイキング本


ロケ地決定

舞台がゲルマニアからアフリカまでと広範囲にわたるので、ハリウッドで全部作れず、どうしてもロケが必要でした。
(ハリウッドで作ると高くつくというのもあったようです・・・)
ゲルマニアのシーンはイギリスで、ヌミディアのシーンはモロッコで、ローマのシーンはマルタ島でロケが行われました。
「6週間もローマ帝国領の各地を駆けまわり、イギリス、フランス、イタリア、東ヨーロッパ、北アフリカの遺跡を見てまわりました。遺跡や博物館の展示品をみて、ローマ帝国の実像をつかもうとしました。」
(プロダクション・デザイナー@アーサー・マックス氏談)


舞台・セット関係

一部のシーンは、本物の遺跡に少し手を加えたセットで撮影されました。マルタ島にはこの手の遺跡がたくさんあったようです。遺跡の古さ加減が、プロキシモの剣闘士養成所(?)などにちょうどよかったらしいです(^_^;)
コロッセウムは、マルタ島に土台だけが作られ、あとはCGで付け加えられました。コロッセウムの構想には、その子孫(?)にあたる闘牛場も参考にされたそうです(@_@)
皇宮のデザインやインテリアは、アルマ=タデマの絵をはじめ、ジェロームの絵「カエサルの死」などを参考にしたようです。コモドゥスの玉座は、ナポレオンの戴冠式の絵(ダヴィドの?)からヒントを得たそうです。


特殊効果関係

コモドゥスのローマ帰還のシーンは、ナチスのプロパガンダ映画のイメージで意図的にモノクロ調で作られました。フォルム内に整列する近衛軍団や背景に見えるコロッセウムもすべてCGでした。
プロキシモを演じるオリヴァー・リードが撮影中に亡くなってしまったため、残りのシーンをCGで合成する必要がありました。撮影済みのシーンの頭の部分を、別の人の胴体と合成したそうです(+_+)
ちなみに「オリヴァー・リード追悼ページ」というのもありました。
心よりご冥福をお祈り致します。


乗り物系

最初に出てくるコモドゥスとルシラの乗り物は、ブロンズの扉がつけられ、内部はフレスコ画で飾られました。「軍用」のイメージを出したかったらしく、時代考証どおりではないようです。
戦車のデザインは「トラヤヌスの円柱」をはじめ彫刻やモザイクを参考にしたそうです。全部で24個作られ、ザマの戦いの再現で使用されたのはそのうちの16個でした。実際に画面に写るのは6個だそうですが^_^;


衣装系

マクシマスの鎧は、発泡スチロールの土台に牛皮を貼って作られました。動きやすいように、軽くするためだそうです(^_^;)
注目のルシラの衣装は、ほとんどが本物のシルクやサテン、毛皮などで作られました。飾りには本物の金糸や宝石がすべて手刺繍で(!)縫い込まれました。
ルシラがつけていたアクセサリーはすべて時代考証ずみで、中にはコニー自身が持参した2000年前の指輪もあったそうです。
「イギリスの骨董品屋で見つけました。つけているだけで役になりきれるような気がします。」(コニー談)
コモドゥスの着ていたチュニックやマントもすべてシルクでした。鎧のほうは・・・ゴムの上に牛皮が貼られたものだったようですが(^_^;)
「衣装を身に着けた瞬間、別の世界にいるような感じがしました。しばらくすると、衣装だということを忘れていました。」(ホアキン談)


動物たち

撮影で使われた動物たちを列記すると…(カッコ内は頭数)
・モロッコ撮影: トラ(2)、ヒョウ(2)、キリン(2)、ライオン(4)、ダチョウ(10)、
ハゲワシ(10)
・マルタ撮影: トラ(5)、ライオン(4)、シマウマ(2)、犬(4)、雄牛(2)、ゾウ(1)
モロッコでは現地調達できましたが、マルタのほうはヨーロッパやアメリカの動物園から運ばれました。
一番の見せ場、コロッセウムでのトラを使ったシーンは、鎖につながれたトラをエサで釣って飛びかかったりさせ、それにマクシマスが避けるシーンを後から撮って合成したそうです。
もちろん、トラがマクシマスに実際に襲いかかるところは本物そっくりのぬいぐるみでしたが(笑)
ゲルマニアのシーンで「ローマの狼」("Wolf of Rome")としてシェパードが登場しましたが、当初では本物の狼が使われる予定だったのが、イギリスの検疫を通過できなくて、断念したそうです^_^;


ローマ史関連の内容

実在した人物が誰なのかや、マクシマスのモデルともいえる人物(皇帝ディオクレティアヌスなど)の説明などが載っていました。
あと、コロッセウム建設の経緯、名前の由来なども記されていました。


出演者のコメント(抜粋)

Russell Crowe:
「この時代がいまだに人々を魅了するのは、ローマ帝国が残した驚くべき業績、そしてその裏にある残忍性のせいでしょう。」

Connie Nielsen:
「すぐにこの脚本の虜になりました。ゲルマン人との戦争などの雄大なシーンと同時に、人間と人間との密接な関係も描かれているからです。」

Joaquin Phoenix:
「この作品は叙事詩であるだけでなく、登場人物中心に動いている話です。僕にはその点が面白かった。」

Oliver Reed:
「時々おもしろそうなアイディアを持ってくる映画監督がいるんです。この作品もその中の一つでした。」

Derek Jacobi:
「本物ではないと思っていることを隠さねばならない演劇とは違い、この映画はほとんど本物です。映画の規模に自然と演技もついていきます。」

Djimon Hounsou:
「この映画は小さい頃からの夢みたいなものです。誰でも一度はグラディエーターみたいな”強い奴”になりたいと思うでしょう?」

Richard Harris:
「『スパルタカス』以来、この時代を描いた映画はありませんでした。これは人々に人類の歴史の一部を見せられる良い機会だと思います。」